第一回  キチンということ

先日、稽古に来た小学生の生徒とこんな話をしました。
『日常の生活すべてをキチンとしなさい』 と。

挨拶をするじゃなく 『キチンと挨拶をする』
食べるじゃなく 『キチンと食べる』
服を着るでも、歯を磨くでも、勉強するでも、靴をそろえるでも、
何でも、頭に 『キチンと』 を付け、
『キチンと〜〜をする』 という習慣をつけなさいと。

『キチンと』 というのが大事なんです。
私は 『言った、言わなかった』 や、『やった、やらなかった』 ではなく、
『やるのが当たり前』 、大事なのは 『どういうふうにやったか』。
そういうところを見ます。


例えば、道場に来たら神棚に一礼をします。

一通りやりかたは説明します。
荷物を置いて、礼をしなさいと。
そのとき手はこうだよ、足はこうだよと。

私は何も言いませんが、大人も含めどういうふうに礼をするかをいつも見ています。

その礼は本人がどれだけ空手に対して真剣に取り組んでいるかを表します。

つまりどれだけ丁寧に、心を込めて礼をしているかです。

それは帯や年数に関係なく、やる生徒はやるし、やらない生徒はいつまでたってもやりません。

丁寧に心を込めて礼をすることができる生徒は入って来る前から日常とはスイッチを切り替えて道場に来ます。

礼から心を込めて出来る生徒です。
当然型も心を込めてやっています。
上達も他の生徒とは違いますし、私が話をしているときも真剣に聞いています。
他の生徒が注意、説明を受けているときも、自分が言われているかのように真剣に聞いています。

一方、自分の注意は聞いてます。
でも他人の注意は聞きません。
これは大人に多いです。
これではなかなか上達しません。


稽古で大事なことが二つあります。
『真剣にやる』 、 『心を込めてやる』
これがどれだけ高いレベルで出来ているかが空手のレベルです。

つまり 『真剣さ、心のレベル』 = 『その人の空手のレベル』ということです。

そういう気持ちで稽古に取り組んでもらえたらと思います。