第19回 スポーツ界の不祥事 


スポーツ界の不祥事が多発しています。

最 近では学生アメリカンフットボールの監督指示による悪質なタックルや指導者による女子選手に対するセクハラ、パワハラ問題や角界の相次ぐ暴力事件、有名選 手のロッカーからユニフォームなどを盗みインターネットサイトに出品する選手、未成年選手の喫煙や寮でのなど様々なニュースが日本国内でも数週間に1度の ペースで起きてしまっています。

スポーツマンシップを謳い、健全な身体と精神を育むはずのスポーツのはずなのに、なぜこのようなことがおこってしまうのでしょうか。

結局のところ、全てが勝利至上主義に問題があるのではないのかと思います。

日本でもライバル選手のドリンクに禁止薬物を混入し、その選手を失格にさせようとした選手がいました。

普通は思うでしょう。
そこまでして勝ちたいのかと、そんなことをして仮に勝ったとして、それがうれしいのかと。 

なぜその選手はそんなことをしてしまったんでしょうか。

自分に対する自信のなさ、勝ちたいという思いや負けたらどうしようという怖さ、誰も見ていないからと魔がさしてしまい、人の道から外れた行動に出てしまったのだと思います。

つまりは心の弱さが問題だったのだと思います。

 

指導をする側にも責任があると思います。

特に児童期、学生時代はスポーツ活動と共に人間性の教育の両方を指導しなければいけないのですが、実際は勝つことのみが目的で、ほんの一握りの優れた指導者以外、人間性の教育はほとんど出来ていないのが現状です。

 

私の学生時代の部活動の話です。

市内で一番強いチームで、エースの子は県選抜のエースでしたが、イジメもひどい子でした。
部内でもイジメが蔓延していましたが、先生は見て見ぬふりでした。

後日その子と話すと大学までそのスポーツを続け、高校大学共に一人だけ頭髪ルールを無視していたそうですが、先生からは特段言われることもなく、大学も中退したそうです。

中学の時は他校に金髪の生徒もいました。

その金髪の子は暴走族に入っていて本人は部活なんてやる気はないのですが、その子は自分がいないとチームが勝てないからと先生に頼まれて出てあげていると言っていました。

その金髪の子は得点を取ると相手チームに中指を立てていました。


結局、スポーツは勝つことが目的なので、先生もあまり教育が過ぎてその子に辞められてしまっては勝てなくなってしまうので、あまり強く言えないのです。


私は高校入学の15歳で極真空手に入門し、20歳で黒帯を取得し、内弟子、指導員として大会を目指していました。

運よく10代から指導員だけが参加する選手クラスに参加することが出来ましたが、100s級の世界チャンピオンや全日本チャンピオンがゴロゴロいるところだったので、練習に付いて行くのも大変で、色々な人が来ては去って行きました。

色々な先輩からいじめられることもあり、道具のように扱われることもたくさんありました。

ある先輩から電話が来て、何時にどこそこに来いと言われ、原付で1時間かけそこに行くと先輩から手荷物を渡され、これを俺の家に持って行けと言われ、そこから30分移動し、家の人に荷物を渡すと不憫に思われたのかカツサンドをもらい後で食べてくださいと言われました。
家に帰ってそれを食べたときにくやしくて涙が出たのは今でも忘れません。


以前プロ野球の日本シリーズでとても残念なプレーがありました。

ピッチャーの投げた球がバッターの頭部付近を通り、バッターが転倒し頭部を押さえて起き上がれなくなってしまいました。

野球ルールにピッチャーの投げた球がバッターの頭部に当たると、そのピッチャーは危険球により退場というものがあります。

テレビなのでスローのリプレイがすぐに流れ、何度見ても当たっていないことが分かりました。
実際にはバットに当たったかキャッチャーが取り損なってボールをはじいただけでバッターにはかすってもいません。

ですがそのバッターは頭を押さえて起き上がろうとしていませんでした。

結局ピッチャーは危険球退場となりましたが、何故そのバッターは頭を押さえたのでしょう。


反則をしたのに何で審判に正直にやったと言わないのかというコーチや監督の方が何人いるのでしょう。

選手宣誓のスポーツマンシップに乗っ取り正々堂々と戦って負けるなら、グレーでも勝てばいいというのがスポーツというところでしょうか。

 

武道とは武術稽古で人間性を培い、人生の道と武道を一つにし、自分の人生をどう歩んでいくかという事です。

武術の稽古を通じ人間性を培っていくことが武道であり、トーナメントの大会で優勝することが武道ではありません。

そして道衣を着て形だけの礼をしても、格闘スポーツはスポーツであり武術でも武道でもありません。

 

特に少年部には空手の術技と共に、人間性の教育にも力を入れ、その両立を図りたいと思っています。

 

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