第30回 バカ

私が小学生の頃に学校の先生に教えてもいました。

人にバカと言ってはいけない、バカな人間はいない、人にバカと言う人間が本当のバカだと。

その先生の言っていることは正しいと思います。
私もその通りだと思います。


でも私は人に教える時に、特に少年部に指導する際、バカという言葉をよく使います。

バカという言葉が悪いのではなく、バカという言葉の使い方の問題だと思います。

人を傷付けるため、人を攻撃するためのバカはいけません。

頭がいいでも、かわいいでも、かっこいいでも皮肉で嫌味で言えば全て同じですし、
スポ根漫画のワンシーンにあるような 『 バカ、ここで諦めたら今まで何のためにがんばってきたか分からなくなるぞ、
がんばれ!』 であれば構わないと思いませんか?

己の愚かさに気付かせ、理解させ、励まし、そして本人がその問題に対し積極的、前向きに向き合うためのバカであれば構わないと思います。

私は生徒にバカと言いますが、必ず言う言葉があります。

 『 でもね、君だけがバカなんじゃなくて、僕もバカなんだよ、ここにいる他の皆んなもバカ、人間は全員バカなの。』

人は皆、自分のダメな所を知っています。
また今日も同じバカを繰り返し、その反省をしながら生きています。

上記の言葉の後に続けて言う言葉があります。
 『 本当のバカは、自分がバカだと思っていない人のこと 』
 『 自分自身のダメなところを理解して、それを直そうとしないといけないのに、それを直そうとしない人、
自分のダメなところをダメとも思わない、何とも思っていない人が本当のバカなんだよ 』 と。



アインシュタインの言葉があります。

世の中には果てしないものが2つある
一つは宇宙の広さ
もう一つは人の愚かさである

そしてアインシュタインはこうも言っています。

この素晴らしい応用科学は労働を軽減し、生活をより豊かにしながら、なぜ我々に幸福をもたらしてくれないのか。 
答えは簡単である。 
我々がそれを有意義に利用するにいたっていないからである。


例えば放射線や放射能がそうです。
原発事故や原爆は人体を死に至らしめますが、がん治療にもレントゲンにもなります。

包丁は料理をする上でなくてはならない物で、どこでも売っていて誰でも気軽に買えますが、故に日本の殺人事件の凶器として1番に使われています。

爆弾だってナイフだって人を殺すために作られたんじゃありません。

つまりバカという言葉が悪い訳ではなく、放射能や包丁が悪い訳ではなく、
悪いのは間違えた使い方しか出来ない人間の心の貧しさです。

私はそう思います。


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